2019年12月11日、スペインにおいて気候変動国際会議COP25の開催中に、アルゴア・元米国副大統領が主演しているドキュメンタリー映画「不都合な真実2」(2017年)の上映会を開催しました。本作品は、気候変動の危機と希望を訴え続けるアルゴアの視点から、既に現実化している気候変動の影響、それに取り組む人々や改革を阻む動き、パリ協定が採択されたCOP21の舞台裏の緊迫した調整の状況などを、鮮明に描いたもので、学生達は真剣に見入っていました。
上映の合間に、川上毅・地球環境戦略研究機関(IGES)研究総括ディレクターより、「ネット・ゼロの世界に向けて」と題した講演をいただき、2050年にあるべき二酸化炭素を排出しない世界とはどのようなものか、その理想・希望の世界を描くことが提案され、参加者は各々のイメージを書き出す場が設けられました。
映画では、気候変動は人類の危機であり、そのために声をあげること、票を投じること、行動を起こすことの必要性が、アルゴア氏から強く訴えられました。そして彼のもう一つの大切なメッセージは、希望を持ち続けることです。その点、炭素を排出しない夢のような理想的な社会のイメージを描き、そうした像を具体的に書き出す作業は、希望を形にするための重要な第一歩だったと言えます。
映画の中では、”After the last NO comes a YES, and on that YES the future world depends” (最後の「いいえ」の後に「はい」が必ず来る。未来の世界はその「はい」にかかっている。)というメッセージが学生達に投げかけられました。社会変革には常に反発がつきものですが、それに屈することなく行動を続けるアルゴア氏に、学生達は刺激を受けたことと思います。
(井上直己・地球環境学研究科准教授)